2019 年上海市血液净化濾過技術特別フォーラム参加報告書
日程:2019.9.1
会場:复旦大学付属中山医院東院区18号楼4楼
主催:上海市血液透析品質管理センター(丁 小強 主任)
参加者:透析工程師約80名
報告者:森上辰哉(元町HDクリニック)
五十嵐洋行(矢吹病院)
吉本 裕(草加市立病院)
川崎忠行(臨床工学国際推進財団)報告者
上海市血液透析品質管理センターの丁教授よりの依頼にて、日本から3題の講演の依頼があり、下記3名と8月31日に上海へ渡航した。
演題1「HDF-On-line 施行においての安全管理」 演者:森上辰哉
演題2「HDF除水トラプルへの対応」 演者:五十嵐洋行(矢吹病院)
演題3「単身用透析装置の洗浄消毒及び消毒液と消毒方法」 演者:吉本 裕(草加市立病院)
8月31日に前泊しホテルは、会場の中山医院に近い「上海青松城大酒店」であり、徒歩にて复旦大学付属中山医院を一回りし会場を確認した。复旦大学付属中山医院は21棟が道路を隔てて立ち並んでおり、昨年から2階に各棟を結ぶ通路が作られ雨に濡れずに移動できるようになっていた。また100m四方が工事中で22号棟が建設中とのことであった。
9月1日のプログラム(別添)では、主催者の丁教授の挨拶に加えて、上海医師会副会長や中山医院副院長の挨拶もありました。
そして森上氏の講演が9:40~10:40、続いて五十嵐氏が11:00~12:00、更に昼食をはさんで吉本氏が14:00~15:00に講演しました。
講演中は参加者全員が真剣に講演に聞き入っており、多くの方はスマホでスライドを写真撮影し ておりました。会場会から装置の耐用年数などの活発な質問もありました。
また、上海市でのトラブルに関する調査で除水に関することが33%と特に多いようでした。
しかしそのトラブルの定義や詳細な内容については示されていませんでした。後で伺ったところ除水精度の確認などの点検は年2回業者が来て確認するだけとのことで、透析液濃度の確認のための検査も年に1回が一般的とのことでした。中山病院では検査室の理解も得て頻繁に確認はしているとのことでした。
そして、コンソール消耗部品の交換は一切行なっておりませんでした。メーカーは消耗部品のリスト、交換時間を病院に提示しています。しかし、中国で部品は壊れるまで使用するものと病院スタッフは考えており、定期交換はメーカーが利益を得るために行われるものと理解されています。これは文化の違いを大きく感じる場面でした。透析液清浄化は細菌に対する知識を持っているようですが、エンドトキシンや細菌培養の結果はありませんでした。上海で最も清浄化が行われている中山病院においても、測定は検査室に依頼している状況です。一般の透析施設では院内に測定機器がありませんので、透析液清浄化の確認が困難な環境でした。日本では透析液清浄化が行われた後にオンラインHDFが普及していった経緯があります。現在の環境で取り組むべきは透析液組成の確認、装置消耗品交換、透析液清浄化が優先されるかもしれません。これを行う人材を確保し、優先順位を付けてクリアすることで日本では考えられない人数の患者さんを救えることができると思います。