「2019年中国医院協会血液浄化中心管理分会参加報告書」
会期 : 2019年8月10日~11日
会場 : 湖濱国際酒店
参加者 : 川崎忠行 臨床工学国際推進財団 理事長
園川龍毅 臨床工学国際推進財団 評議員(報告者)
~はじめに~
2010年より始まった日中技術交流事業では透析技士の資格法制化の支援と学術的交流の2つを柱として血液浄化領域の交流事業を開始した。約9年の間に中国の透析技士は血液浄化関連学会の支持母体を獲得し、さらには学会内の認定資格制度の制定と定期的な透析技士領域のシンポジウムの開催と大きく躍進をしている。また、まさに現在は認定資格制度制定に伴い職責や業務指針といった内容に着手し始めており、国家資格の制定が手の届きそうなポジションまで自らを高めていると感じている。
~講演について~
2019年度の中国医院協会血液浄化中心管理分会では8月10日に血液浄化臨床工程師のためのシンポジウムが設けられており同日の午前中のセッションにおいて、臨床工学国際推進財団、川崎忠行理事長(以下、川崎氏)が「血液浄化における臨床工学技士の業務と責務」について講演された。川崎氏はスライドの中で1970年代の日本を振り返り、その後どのように資格法制化がなされたか、また、チーム医療の概念と臨床工学技士の果たす役割の重要性や医師・看護師・臨床工学技士の法律解釈についてなど多岐に亘り、中国の透析技士が今まさに必要であろう経験と情報について講演された。座長を務めた劉学軍前工程師会会長からは“日本の血液浄化技士が歩んできたこの30年間の経験を共有していただいたことに非常に有難く思う、このような日中の交流に報いることができるよう資格法制化に向けて努力したい”とのお言葉を感謝状と共にいただく川崎氏の姿に、血液浄化領域の日中技術交流事業の重要性を深く再認識した。
~最後に~
近年、中国の維持透析患者は増加を続け2017年時点での患者数は51万人に対し2018年末では60万人を超えたとされている。さらに、透析施設の民営化については2010年頃よ り試験的運用がスタートし当時の2施設から2019年現在においては400施設以上の民営クリニックが営業している。また、それら透析治療の民営化に伴って従事するスタッフの人的・知識的な不足と同時に教育機関や学ぶ機会の不足に関する問題点も浮き彫りとなっており日中技術交流事業の一環として助力できる方策を探っていきたいと考えている。