玄々堂君津病院 臨床工学科 武藤潤一

2019年6月6日~6月13日の8日間、米国での学会(AAMI2019)参加、 同国の病院(Cleaveland Clinic)見学ツアーをさせて頂きました。 到着した日は、今迄に経験した事の無い合計14時間のフライトと約13時間の時差に 苦労しました。周りに書かれている看板の文字や飛び交う言語にいよいよ異国に来た事の 実感と、また初の海外での学会に参加に緊張感で一杯でした。 2日目午前にCleaveland Clinic の大まかな全体を見学させて頂きました。この病院は、 世界中から患者を受け入れており、言葉の壁や文化の違いによる弊害を失くす為に、80 の 言語に対応出来る態勢が整っていたり、広大な敷地の中に礼拝堂や職員や患者さんの家族 の為のホテルもありました。更に病院の敷地内を一般の道路が走っていて1つの街を感じ させるとても大きな総合病院である事が分かりました。また研究機関や大学等の教育機関 としての役割も併せ持っていること等に、日本との大きな違いを感じました。 午後にAAMI2019に参加し、開会式に出席しました。英語が飛び交う中、必死に理 解しようとしましたが、全く分からずに、その場の雰囲気に合わせて拍手していました。開 会式の後に参加したWelcome reception では学会中に外国ならではのお酒を始めとする飲 み物や軽食を自由に食べられるという事に驚きました。アメリカの人だけでなく、自分たち 以外の日本人や中国やベトナム、韓国の人等様々な国の人が参加している学会であるのを 初日に知りました。 夜にはアメリカ文化の象徴の一つであるメジャーリーグのインディアンズとヤンキース 戦を観にいきました。地元の球団は必死に応援するのに相手の球団は徹底的にブーイング やベンチを叩く等のノイズを立てて妨害するアメリカ流の試合展開を見て、こんな中で活 躍している田中選手、大谷選手そしてこの間引退されたイチロー選手を改めて凄いと思い ました。 3日目午前に日臨工の青木さんと飯塚記念病院の井桁さんが発表されたセッションに参 加しました。どの演者もグラフや表を駆使しスライドでの発表でしたが、全てが英語だった ので、内容を理解するのが難しかったです。学会の雰囲気や発表の様子自体は日本とあまり 変わらないかなと思いました。しかし、コーヒーやお茶のサーバーがお菓子とセットで各所 に配置されていて飲み放題だったり、サンドウィッチやパンを食べながら発表を聞いてい る人が居たりして、やっぱり異国だなと感じました。 午後にアメリカの臨床工学技士に当たるメディカルエンジニア、クリニカルエンジニア の方々とアメリカ版日本臨床工学技士会に当たるACCEの方々とメーカー出展ブースで 行われる、提携の署名式に参加し記念写真を撮りました。 一緒に見学したそのブースでは 様々な企業が出展していて、アメリカはもちろん日本等、他国の企業も出展していました。 様々なグッズを頂いたり、片言の日本語や、身振り、手振り、翻訳機を使って必死に語り掛 けてくれるメーカーの方々の優しさに英語が話せない自分が申し訳なく感じました。 4日目午後にACCEの方々とティーパーティーが開かれ、ジェスチャーゲームやお土 産の交換が行われ楽しいひと時を過ごせました。しかし自分では理解しているつもりだっ た歌舞伎や抹茶をアメリカの方に説明してと言われてどういう英語を使えばいいのか分か らず、他のメンバーの方々と共に通訳さんに日本語で説明してから訳してもらいました。 5日目午前に亀田総合病院の森さん、ニプロ株式会社の近藤さんが発表されたセッショ ンに参加しましたが、普段自分が何気なく使っている英語が和製英語で、しかも発音が違う ので現地の方には通じない事にとまどいました。そのセッションではアメリカ国外からテ レビ電話中継で発表されている方もいて、この学会の国際性を改めて感じました。その後に 大会場で行われていたセッションで大きなモニターを使い、まるでテレビの生放送を見て いるかのような大規模な発表をマイクを付けた演者がやっていて、言葉は分かりませんで したが、映し出される映像が面白く、ここが学会の場所であるのを忘れそうになっていた自 分がいました。 午後に2日目に訪問した、クリーブランドクリニックの院内を詳しく見学させて頂きま した。院内では、医療機器の点検や管理をそれぞれの専門のスタッフが業務を行っている事 や、医療用の資材等はAIで制御されているロボットカーを使って運んでいる事に驚きま した。また授業で世界統一規格だと習っていた3Pコンセントや各種医療ガス配管のコネ クター方式やボンベの色等が同じであったので、実感出来ました。一方で私が普段中心的に 行っている、透析はそこまで大きい規模でなく、アメリカの透析よりも腎移植を選択すると いう医療観点の違いを感じました。 6日目自由行動ではナイアガラの滝をツアーの皆さんと一緒に訪れました。車で高速を 時速60マイルで飛ばしても片道3時間かかるというアメリカの広大な距離を感じつつも、 その強大さと迫力に圧巻されまた訪れたいなと思いました。 参加させて頂いた学会やツアー全般で感じたのは、日臨工の青木さん、飯塚記念病院の井 桁さん、亀田総合病院の森さん、ニプロ株式会社の近藤さんが、流暢な英語で発表を行って いるのを見せて頂き、語学力を高める必要性を痛感しました。又入国審査や買い物、アメリ カの方々とお話しした時に、聞き間違いや発音間違いで誤解等を生んでしまい、日常会話で も言葉の壁を感じました。 最後に、今回のツアーを企画して下さった方々をはじめ、一緒に参加して下さった方々や 現地で通訳や同行して下さった方々等、ツアーに携わっていただいた全ての皆様に感謝申 し上げます。この経験を糧にして普段の業務をこなすだけでなく日本の学会や認定資格取 得に繋げていきたいです。また可能であればこれから予想される国際化へ対応出来る臨床 工学技士を目指して英会話技術習得に挑戦してみたいと思います。 本当にありがとうございました。