ICIBEL 2026(第6回 生体医工学・生命科学イノベーション国際会議)参加・活動報告書

ICIBEL 2026
(第6回 生体医工学・生命科学イノベーション国際会議)
参加・活動報告書

公益社団法人 日本臨床工学技士会 国際交流委員会

会議名 ICIBEL 2026(The 6th International Conference for Innovation in Biomedical Engineering and Life Sciences)
開催日程 2026年8月27日(木)~28日(金)
会場 クアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)、マレーシア
主催 マラヤ大学 医療工学イノベーションセンター(CIME)、マラヤ大学(Universiti Malaya)
共催 マレーシア医用生体工学会(MSMBE)、マレーシア医療機器庁(MDA)、AI in Medicine、ガジャマダ大学(インドネシア・UGM)
後援 国際医用生体工学連合(IFMBE)
JACE関係者出席 肥田理事長、平山隆浩、石田幸広、渡邊いちこ
報告作成者 渡邊いちこ(国際交流委員会)
ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真1

1. 会議概要

ICIBEL 2026は、マラヤ大学医療工学イノベーションセンター(CIME)が主催し、マレーシア医用生体工学会(MSMBE)、マレーシア医療機器庁(MDA)、AI in Medicine、インドネシア・ガジャマダ大学(UGM)が共催、国際医用生体工学連合(IFMBE)の後援のもと、2026年8月27日から28日にかけてクアラルンプール・コンベンションセンター(KLCC)にて開催された。国際医療機器展示会・会議(IMDEC)2026との併催であった。

本年のテーマは「From Innovation to Adoption: Regulation, Health Technology Assessment, Clinical Engineering & Talent for Sustainable Healthcare Systems」(イノベーションから実装へ:持続可能な医療システムのための規制、医療技術評価、臨床工学、人材育成)であり、研究成果の実用化・臨床実装に主眼が置かれた会議構成であった。マレーシア、インドネシア、インド、日本、イラクの研究者による採択論文28件が発表され、AIを活用した医療機器規制、スマートCPRトレーニング機器、携帯型人工呼吸器の商業化、バイオマス由来バイオ製品、ワクチン開発におけるナノテクノロジーなど、生体医工学および生命科学領域の幅広いトピックが取り上げられた。

科学講演に加え、臨床工学・医療技術評価(HTA)フォーラム、デング熱に関する多職種フォーラム、Medical & Biological Engineering & Computing(MBEC)誌編集長によるサイエンティフィック・パブリッシング・ワークショップなど、人材育成・国際連携に重点を置いたプログラムが組まれた。

2. 日本臨床工学技士会(JACE)の参加・登壇状況

本会議において、JACEは複数のプログラムに正式に招待され、国際的な臨床工学分野の連携強化に寄与する活動を行った。主な内容は以下のとおりである。

2-1. マレーシア医用生体工学会(MSMBE)と日本生体医工学会(JSMBE)の調印式

Day 1(8月27日)、マレーシア医用生体工学会(MSMBE)と日本生体医工学会(JSMBE)の間で調印式が行われた。生体医工学分野における日本とマレーシアの学会間連携強化を象徴する式典であり、開会式直後のプログラムとして実施された。

ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真2

2-2. 臨床工学フォーラム(Clinical Engineering Forum / HTA Forum)への登壇

Day 1(8月27日)、渡邊いちこ(国際交流委員)がパネリストとしてClinical Engineering Forum(HTAフォーラム)に登壇した。共同登壇者はマラヤ大学医療センター(UMMC)生体医工学部門長のNor Haliza Md Yusof氏、およびマレーシア保健省(MOH)生体医工学部門のDzatul Ithri Amran氏。モデレーターはマラヤ大学CIMEのMas Sahidayana Mohktar准教授が務めた。フォーラムでは、各国における臨床工学技士の役割、医療機器の保守管理体制、医療技術評価(HTA)との関係性について議論が交わされ、日本における臨床工学技士制度の紹介と、マレーシア・国際的な動向との比較検討が行われた。

ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真3
ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真4

2-3. 日本臨床工学技士会 肥田理事長 招待講演

Day 1(8月27日)、当会の肥田理事長が「Clinical Engineering Beyond Medical Devices: Connecting Technology, Healthcare, and Society(医療機器を超える臨床工学:技術・医療・社会をつなぐ)」と題した招待講演を行った。講演では、日本における臨床工学技士制度が生命維持管理装置の操作・保守を中心に発展してきた経緯を踏まえつつ、デジタルトランスフォーメーション、AI、サイバーセキュリティ、ロボティクス、在宅医療、災害対応といった新たな課題に対応するため、臨床工学技士の役割が今後どのように進化していくべきかが論じられた。日本のモデルをそのまま輸出するのではなく、日本・マレーシア・アジア各国が互いに学び合いながら次世代の臨床工学のあり方を「共に創り上げていく」べきであるとの提言で締めくくられた。

ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真5
ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真6
ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真7

2-4. ネットワーキング&感謝レセプションへの参加

ICIBEL 2026の初日終了後、大会長のFatimah Ibrahim教授(マラヤ大学)および組織委員会の主催により「Networking & Appreciation Dinner」が開催されました。本懇親会はマラヤ大学医療工学イノベーションセンター(CIME)およびマレーシア医用生体工学会(MSMBE)との共同企画であり、参加者同士の交流や今後の連携深化を図るレセプションとなった。

ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真8
ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真9

3. プログラムハイライト(臨床工学・HTA関連を中心に)

3-1. 基調講演・招待講演

基調講演1:Kang Ping Lin 氏(IFMBE会長・台湾)「What can ICT improve the patient's safety and medical quality in the healthcare system?」

招待講演:黒田知宏 氏(日本生体医工学会前理事長・京都大学教授)「Guideline for Health Software Development equips Generative AI」-生成AIを組み込んだヘルスソフトウェア開発ガイドラインについて、AMED研究費に基づく提案内容を紹介。

基調講演2:Sasikala Thangavelu 氏(MdDev Sdn Bhd/MSMBE副会長)「Transforming Biomedical Innovation: Integrating Biomedical Engineering, Regulation and Health Technology Assessment」

招待講演:Nor Haliza Md Yusof 氏(UMMC)「Health technology assessment in medical equipment:Lessons from UMMC」

招待講演:Dzatul Ithri Amran 氏(マレーシア保健省)「From Evidence to National Adoption: The Role of Biomedical Engineers in Health Technology Assessment, Procurement and Medical Technology Policy」

基調講演3:Muralitharan Paramasua 氏(マレーシア医療機器庁CEO)「Updates on Medical Device Regulation in Malaysia and the Challenges of AI Adoption in Healthcare」

基調講演4:Ng Kwan Hoong 名誉教授(マラヤ大学)「Co-Creation with AI for a Sustainable Future」-AIを協働パートナーと位置づけ、臨床工学技士・生体医工学技術者に求められる倫理的責務と創造性について論じた。

招待講演:肥田 泰幸 氏(日本臨床工学技士会 理事長)「Clinical Engineering Beyond Medical Devices: Connecting Technology, Healthcare, and Society」-日本の臨床工学技士制度の発展を踏まえ、デジタル化・AI・サイバーセキュリティ・在宅医療等に伴う役割拡張と、各国との共創による臨床工学の発展の必要性を提言。

3-2. フォーラム・ワークショップ

Forum Session 1:Clinical Engineering Forum / HTA Forum(渡邊いちこ登壇)

MBEC Insight - Meet the Editor:Shanbao Tong 氏(MBEC誌編集長)、Fatimah Ibrahim 教授(同誌副編集長)による論文出版戦略ワークショップ

Forum Session 2:Dengue Forum(デング熱の臨床ニーズと工学的イノベーション)

4. 会議日程概要

Day 1:2026年8月27日(木)

時間 プログラム
08:35–09:00 開会式(マラヤ大学副学長 挨拶)
09:00–09:15 MSMBE・JSMBE 調印式
09:15–11:30 基調講演1・2、招待講演、一般演題
13:00–14:00 ネットワーキングランチ
14:00–14:20 臨床工学フォーラム/HTAフォーラム(渡邊いちこ登壇)
14:30–15:50 招待講演・基調講演3、一般演題
16:00–16:20 MBEC編集長ワークショップ
16:20–16:30 JACE肥田理事長 招待講演
16:30–17:30 一般演題
19:30–22:00 ネットワーキング&感謝レセプション(Traders Hotel KL)

Day 2:2026年8月28日(金)

時間 プログラム
09:00–09:40 招待講演、基調講演4(Ng Kwan Hoong 氏)
09:40–10:10 Dengue Forum
10:10–10:40 招待講演、モーニングティーブレイク
10:40–11:30 一般演題
11:30–12:00 招待講演、閉会式・表彰式
15:00–16:30 コンファレンスツアー(KLCCパーク、ペトロナスツインタワー等)
ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真10
ICIBEL 2026 参加・活動報告 写真11

5. 所感および今後の連携に向けて

本会議を通じ、マレーシアをはじめとする東南アジア諸国において、臨床工学(Clinical Engineering)と医療技術評価(HTA)を連動させた人材育成・制度構築が急速に進んでいることが確認された。特にマレーシア保健省やマレーシア医療機器庁(MDA)が主導する医療機器保守要員の国家的な能力枠組み(BTP:Biomedical Technical Personnel)構築の取り組みは、日本の臨床工学技士制度と比較検討する上で有益な知見であった。

肥田理事長の講演でも強調されたとおり、日本モデルの一方的な輸出ではなく、日本・マレーシア・インドネシアをはじめとするアジア各国が対等な立場で知見を共有し、次世代の臨床工学の姿を共創していく方向性が今後の当会の活動指針としても重要であると考える。今後も本地域との継続的な連携・情報交換を進めていきたい。

\ 最新情報をチェック /