調査方針及び内容

医療施設において、医療機器を適切かつ効果的・効率的に運用するために、医療機器に関する人材(主として Medical Engineer(ME))に関する現状及び課題を把握し、人材育成、教育・資格制度のあり方、及びミャンマー側の実施体制を含む協力の方向性について検討を行うため、情報収集・確認調査を行いました。

調査の団員構成案とスケジュール(敬称略、順不同)

担当事項氏名現地調査期間
団長/総括(JICA) 渡部 晃三 5 月 24~30 日
人材育成(岡山大学) 木股 敬裕 5 月 28 日~30 日
医療機材(日臨工) 川崎 忠行 5 月 24~30 日
医療機材(日臨工) 楢村 友隆 5 月 24~30 日
人工透析(日浄化学会) 小久保 謙一 5 月 29 日~30 日
協力企画(JICA) 衣斐 友美5 月 28 日~30 日
協力企画(JICA) 中村 悦子 5 月 24~30 日
アドバイザー(岡山大学) 岡田 茂 5 月 28 日~30 日
アドバイザー(日浄化学会) 山家 敏彦 5 月 24~30 日
オブザーバー(日臨工) 瀬上 清貴 5 月 25~30 日
オブザーバー(日臨工) 高倉 照彦 5 月 24~30 日

まとめ

今回の調査前半に訪問した各国立病院(トップリファラル)においても、医療機器の
管理状況、医師・看護師(看護師は医師の指示のもとに操作)の使用方法ともに課題が
大きいことが再確認された。医療機器管理は、医療施設管理を担当している施設管理部
門のスタッフの内、問題意識をもって取り組んだ者が少数名 Medical Engineer(ME)
の役割をはたしている(本邦研修参加者等)が技術力や組織的なバックアップも不十分
な状況であった。昨年保健スポーツ省に採用された若手 ME 候補者は、委託先マレーシ
ア企業による研修機会が一部与えられているが戦力として活躍するには至っていなかっ
た。
このような状況のもとで、「ME 育成1年コース」を緊急度の高い人材育成課題として
保健大臣から要請されたことを受けて、今回の調査では、「ME 育成1年コース」の実施
を主目的として、カウンターパートとなる UMT-Y(University of Medical Technology,
Yangon)や保健省の関連部局(保健人材局/DHRH、保健医療サービス局/DMS)等と
協議を行い、その結果を、保健大臣にも協議結果を報告し意見交換を行いました。
保健スポーツ省カウンターパートや関連部局との間では、日本側で本件協力を成功さ
せる上で重視する項目(①ME 育成1年コース受講者の身分措置(保健スポーツ省職員の
現任教育として実施)、②受講後の資格発給と資格の制度化(UMT-Y による Diploma
コースに認定)、③保健スポーツ省関係部局の連携(DHRH 及び DMS 両部署のコミッ
トメントを確認、など)について賛同が得られました(ミニッツドラフトを託し、先方
の確認後、合意事項をミニッツで確認予定)。
一方、透析機器短期3か月コースについては、保健スポーツ省との協議において、看
護師等透析機器使用者向けの研修はミャンマー政府が別途実施していることから、本協
力の枠組みでは、エンジニア向けとし、「ME 育成1年コース」に追加・統合する形が望
ましいという意見でした。
この点も含め、次回調査実施前の日本側の要対応事項としては、①UMT から要請され
た「ME 育成1年コース」のカリキュラム・シラバスの具体化作業、②「ME 育成1年コ
ース」実施場所を確保するために UMT 内の既存建物の内部を改装するための準備につい
ての検討(必要に応じ施設設計コンサルタント傭上を検討)、③実習用機材のリストア
ップ(①および②に関連)などがあります。
保健大臣との面談時に、大臣から本件協力案への強い賛同が表明され、至急の対応を
要請されたことから、年央採択等の必要な手続きを進めるとともに、前述の対応事項へ
の検討を、国内関係者に引き続き協力いただきながら実施し、早期のプロジェクト開始
を目指すこととなりました。
また、日本大使館のご協力により開催された意見交換会等を通じ、ミャンマーに進出
している日本の医療機材関連企業等のビジネス関係者からは、供給した医療機材が適切
に活用されるために、病院に医療機材維持管理を適切に行うことができる人材が育成さ
れ配置されることへの期待が非常に高いことも確認できました。

今後の予定

1)7月中旬に第1回ミャンマー調査団報告会(場所、日時調整中)→決定次第広報
2)カリキュラム、シラバス作成(WG にて実施中)
3)第2回調査団9月予定(ヤンゴン国立医療技術大学とのカリキュラム調整等)の準備