飯田市立病院臨床工学科
土屋貴司
2019年6月6日~13日にかけて、日本臨床工学技士会主催のアメリカAAMI(Association for the Advancement of Medical Instrumentation)学会参加及び病院見学ツアーに参加しました。
・交流
ツアー期間中は他施設の方々とお話しをする機会が多く、様々な情報を得ることができました。ACCE(The American College of Clinical Engineering)の方々とのtea partyでは英語での会話をする絶好の機会でした。日本のことを聞かれたときに長野県の自然や松本城について英語でお話しをしました。しかし、普段英語を使ってないこともあり相手になかなか伝わらないことも多かったため悔しい思いをしました。これを機に英語を本気で学ぼうと思いました。
・AAMI学会
学会の場においても全て英語の講演でとても新鮮でした。英語のため内容をすべて理解することはできませんでしたが、日本では感じられない雰囲気の中での学会を体験できました。医療機器ブースはとても広い会場にあり、多くのメーカーで埋め尽くされていました。日本でもお馴染みのメーカーもあり、当院で使用しているAEDや麻酔器の後継機種もあり最新情報や操作方法などを聞くことが出来ました。また、多くの医療機器メーカーがオリジナルのTシャツを配布していることに驚きました。
・Cleveland Clinic Hospital見学
Cleveland Clinic Hospital見学では、2日かけてinnovation部門とclinical部門の見学をしました。
Innovation部門では医療デバイスの開発場所の見学をしました。日本を含む全世界からの88社の企業が参加して開発に取り組んでいました。年間300件程の開発案を作成してCleveland Clinic Hospitalにて臨床試用を繰り返し、臨床使用にて結果のよかったものを採用していました。肝臓外科の手術前には3Dプリンターで患者様の模擬肝臓を作成して手技や手術内容を決定して、術前に練習をしているということには驚きました。
clinical部門では手術室、ICU、カテ室、透析室、病院全体の見学をしました。手術室では人工心肺装置使用手術が4件並列で行われていました。その他の手術室でも人工心肺装置がスタンバイしていました。手術室内には医師、看護師以外にPerfusionistと呼ばれる資格を持った方が1名体制で人工心肺操作にあたっていました。人工心肺装置は手術室内廊下や倉庫など至る所に置いてあり、全て回路が組まれた状態で保管されてプライミングの直前の状態で大きな袋を被せていました。PCPSも同様に回路が組まれた状態で保管されており、循環器や心臓外科症例の多い病院ならではの光景に驚きました。カテ室ではバルーンなどのデバイスが盗難防止のため、別の部屋に全て保管されていたので室内は物が少なくすっきりした状態でした。カテ室も8部屋あり、1日に45例の心臓カテーテル検査及び治療を行っているとのことでした。
・まとめ
今回のツアーでは、日本にいたら体験できないような多くの体験ができました。海外学会参加、病院見学だけでも参加して良かったと思いましたが、メジャーリーグ観戦やナイアガラの滝の観光もできてアメリカという国を存分に堪能することができて大満足なツアーでした。また、米国駐在員でありアメリカでRCIS(Registered Cardiovascular Invasive Specialist)という心臓カテーテル治療をする技士の資格を持っている長澤さんの今までの経緯やアメリカでの生活のお話しを聞いたことで臨床工学技士という枠組みを超えた先の仕事を知ることができました。ツアー中は様々な場所を案内していただき、長澤さんの素晴らしい人柄とおもてなしの心に感謝致します。そして日ごろの生活や仕事において自分の意見や考え方をしっかり持つことの大切さも学びました。ツアーを通して、人としても成長でき、今後自分がしたいと思うことを見つけられた7日間になりました。