日時:2019年3月17日(日曜日)9:30−12:30

場所:  Medikiki.com株式会社

主催:  日本臨床工学技士会(臨学産連携推進委員会)

後援:  経済産業省

東京都

東京都臨床工学技士会

一般社団法人 ビジネスモデルイノベーション協会

 

イベント目的:

臨床工学技士をはじめ臨床家の医工連携基本スキルを習得する。

バイオデザインプログラムのような多職種連携による共創マネージメントを体験する。

 

『アイデアソン』

「アイデアソン」とは「アイデア(Idea)」と「マラソン(Marathon)」を合わせた造

語であり、ひとつの『チーム』のなかで次々とアイデア出しをすることでビジネスモデルやサービスのプランニングを行うワークショップイベントのことをいいます。最近では多くの企業で実施され、自治体や学会、省庁関係の会議を効率化したり、新しいアイデアを発掘する目的で実施されたりしています。

 

参加者:49名(臨床工学技士27名)  運営:15名(臨床工学技士10名)

プログラム概要:

  • 司会およびニーズ提供

司会 西垣 孝行 臨学産連携推進委員会(森ノ宮医療大学)

  • 医工連携事業化推進事業について

講演 平野恵子 経済産業省 医療・福祉機器産業室

  • アイデア出しとチームビルディング

講演 井上 拓也  富士通株式会社 ソーシャルエコノミー推進室 デザイナー

  • ビジネスモデルキャンバスとバリュープロポジションキャンバス

講演 宮木 俊明  一般社団法人ビジネスイノベーション協会 ジュニアコンサルタント

*午後13:30-18:30は、Medikiki.com主催の「Medekikiアイデアソン」にて、午前中の座学をより実践的に体験するために、具体的なサービス開発を実施しました。

 

まずは、臨学産連携推進委員長の加藤氏(神戸大学附属病院)から開会の挨拶を頂き、Medikiki.com株式会社代表取締役中前氏から、会場案内とセミナーを受ける聴講者に対して激励の言葉を頂きました。

司会は、臨学産連携推進委員の西垣氏(森ノ宮医療大学)が務め、まずは医工連携における臨床工学技士が果たす役割と把握しておくべき基礎知識について簡単に紹介されました。

医療現場にはまだまだ新しい医療機器や新しいサービスなどが生まれる可能性があり、そのニーズを提供する側として臨床工学技士が有利なポジションであることが示されました。しかしながら、臨床工学技士を始めとする医療者は、臨床現場以外の産業界(特に経営や経済学)に対する教育を受けておらず、工学的な技術なども含め、共通言語がある程度必要になります。

本アイデアソンイベントは、個人が持っている考えやアイデアを多職種で形成されたチームで共有し、ブレインストーミングと共創マネージメントでブラッシュアップしつつ、サービス開発するために企画しました。ビジネスの基礎と考え方をワークショップで実践的に体験しながら分かりやすく学べるため、非常に効果的な学習効果が得られます。今後、医療現場で多くの臨床工学技士が、このようなスキルを身につけ、医工連携を活発化させることが期待されます。製品開発に携わるという臨床業務以外の新たな職域の確保としても可能性が生まれます。

今回は、医療従事者にメーカー企業、デザイナーを含めた多職種で5-6名で10チームを作りました。

プログラムに添って、どのような流れでワークショップが開催されていたのか、グラフィックレコーディング(イベント内容をリアルタイムで視覚化して記録するメモ手法)の絵を基に報告します。

 

「イベント会場の雰囲気」

Medikiki.comさんには、非常に綺麗なワークショップ会場をなんと無償でご提供頂きました。この場をお借りして暑くお礼申し上げます。

 

「アイデアソンの様子」

① 司会およびニーズ提供

 司会 西垣 孝行(臨学産連携推進委員・森ノ宮医療大学)

本イベントの司会を務める西垣氏よりご挨拶。アイスブレイクを行いながら参加者同士で自己紹介を行いました。

 1日を介して一番伝えたいことは、疲弊の一途をたどる医療現場で、医療者が心の底から「働いて笑える」環境を創っていくために、いろんな方に協力してもらいながら、そして共創すること自体でもワクワクしてもらいたいという思いでした。

 またアイデアソンのためのニーズ提供としては、臨床家が行なっている多種多様な勉強会やセミナーにおける課題を提示しました。運営側は、日程調整や開催概要、パンフレットなど、準備における手間が非常に多く、またボランティアで開催される勉強会が非常に多いことが示されました。また勉強会開催当日も、参加者と提供側のマッチングおよび一方的な講義方式による学習効率の悪さなど、ある程度のノウハウも必要不可欠になること、さらには同じような内容の勉強会を各地で繰り返していることも多く、臨床業務以外の時間をかなり圧迫している原因となっていることが示されました。今回は、これらのニーズを短時間で深掘りし、ITを駆使してサービス開発を考えることとしました。

② 医工連携事業化推進事業について

 講演 平野恵子(経済産業省 医療・福祉機器産業室)

医工連携について、経済産業省が準備している産業政策について解説していただきました。特に開発費だけでなく、ソフト支援の仕組みが整備されていることが紹介され、臨床家の方にも積極的に医工連携に取り組んでもらえるよう国の視点からアドバイスも頂きました。

③ アイデア出しとチームビルディング

 講演 井上 拓也(富士通株式会社 ソーシャルエコノミー推進室 デザイナー)

バイアスを外して広くアイデアを生み出す手法について学びました。

キーワードは①現状認識、②不平不満、③ワクワク。進めるうちにチーム内が自然に打ち解けるようなワークを中心に、知らず知らずチームビルディングが成り立っていました。5-6名のチーム内で、引っ張りそうな方がリーダーとして選ばれ、相手の話をよく聞いて、意見を引き出しそうな方がファシリテーターとして決められ、1日を介してチームが効率的にワークするように担当が決められました。

 

④ ビジネスモデルキャンバスとバリュープロポジションキャンバス

 講演 宮木俊明(一般社団法人ビジネスイノベーション協会 ジュニアコンサルタント)

バリュープロポジションキャンバスでは顧客の仕事をブレインストーミングやインタビューにより書き出し、チームで共有しながら、その中でニーズとなる不満(Pains)または逆の幸福(Gains)に細分化し、顧客の理解を進めていきました。それを基に、不満解消のアイデア、もしくは幸福感の増強アイデアを出し、サービスのアイデアをチームで出す手法を学びました。ビジネスモデルキャンバスでは、バリュープロポジションキャンバスで書き出したアイデアをどのようにサービス化し顧客に届けるかを論理的かつ構造的に学びました。

バリュープロポジションキャンバスの創造は、臨床家の関与が必須になり、ビジネスモデルキャンバスについては、複雑なビジネスの整理に仕えることから、医工連携においてチーム内の共通言語を作るために非常に効果的に仕えるツールになることが紹介されました。

バリュープロポジションキャンバスとビジネスモデルキャンバスを使ってアイデアを分析、整理していきます。

 

臨床工学アイデアソンとMedikikiアイデアソンの合間には、昼食を頂きながら、2社のプレゼンをしていただきました。1社目は、経済産業省のヘルスケアアイデアコンテストで優秀賞を受賞したトリプル・リガーズ合同会社を立ち上げた丸山亜由美さんです。臨床検査技師でありながら、美術大学によりデザインを学び、海外留学を経て、起業に至っておられます。プレゼンを行っていただいた事で、昼からの発表へ向けて参加者のモチベーションが上がりました。特に、臨床工学技士の方々からは、「負けてられないね!」とコメントを頂きました。

 

2社目は、会場をお借りしているMedikiki.com株式会社です。Medikiki.comのサービス紹介と思いを語っていただきました。特にサービス内容は、非常によく、アニメ動画にまとまっており、参加者からは、「なぜ、臨床工学技士に知られていないのか?」など、臨床工学技士のためにあるようなサービスを展開されていると非常に好評でした。