山形大学医学部付属病院 臨床工学部 八鍬 純
12日間(AAMI学会を含む)に渡る比較的長いアメリカ滞在をし、アメリカの病院見学という貴重な経験をさせていただいたので報告いたします。私自身、働き始めて5年目ぐらい(10年前)にどんな職業でもいいからアメリカで働きたいと悩んだこともあり、アメリカで働いている長澤智一さんの存在を知った時はとても衝撃でした。長澤さんの存在を知ったのは、1年前に元上司で国際交流委員長の吉岡さんからの紹介です。昨年の中四国学会で初めてお会いしました。その時は5年後ぐらいに長澤さんの施設に見学に行けたらいいな、なんて思ったのを覚えています。まさか次の年に実現するとはその時は全く思っていませんでした。長澤さんに誘っていただき、AAMIの学会後に私の医療機器学会での発表があったため、AAMIの学会前という長澤さんが超多忙な中、施設見学をさせていただきました。職場の仲間たち、家族も快くアメリカ渡航を許してくれて、気持ち良く送り出してくれました。
出発
長澤さんの住むコロラドスプリングスへはデンバー経由で行きました。デンバー行きの飛行機では、医療機器学会のスライドをずっと作っていました。(もちろん、日本語のスライドです。)スライドを見られたのか、隣の人がアメリカのドクターだったらしく、最後に職業を尋ねられました。デンバーで乗り換えをした飛行機でジェットラグだったのか、乗ってすぐに30分くらい寝てしまいました。起きて、窓から外を見ると飛行機が滑走路内にいたので意外と早く着いたなと思ったのですが、そこは、デンバー国際空港の滑走路で、何かのトラブルで出発が遅れてるとのことでした。結果的にコロラドスプリングズ空港に迎えにきてくれた長澤さんを1時間半もお待たせするという大失態を犯してしまいました。(起きてたとしても、遅延の機内放送を聞き取れなかったと思いますが‥)そんなこんなでやっとコロラドスプリングズに到着して急いで預けた荷物を受け取るはずが、私の荷物が出てきません。ロストバゲージしたことを航空会社スタッフに相談しに行くと、同じ境遇の人が4人もいました。私の交渉は時間がかかりそうだったので、最後に並んで、次の日に届けてもらうことで約束して空港をリュック1つででました。空港で、長澤さんと合流した時は、とても安堵したのを覚えています。海外旅行保険会社に連絡し、ロストバゲージをしたことを長澤さんに伝えると、明日の身の回り品を買いに快く買い物に連れて行ってくれました。ちなみに長澤さんにお会いするのはこれが2回目です。
明日の身の回り品を揃えて、やっと長澤邸に辿り着きました。長澤邸では、家族全員で迎えていただきました。私とは全然違う経験をしている長澤さんや奥さんの話もとても勉強になったのですが、長澤さんのお子さんたちの話もとても興味深く、アメリカの教育のシステムや日本の教育環境について思うことなど、これから子育て真っ只中の私(長男6歳、次男3歳、三男1歳)にとってはとても勉強になりました。長澤家の皆様毎晩、長話に付き合っていただきありがとうございました。また、長澤家の方々は大阪弁なので、東北出身の私としては、外では、英語、家に帰ると大阪弁というような貴重な体験もできました。必要ない情報ですね。
2日目:病院見学 カテーテル検査室
2日目はいよいよ病院見学です。この日はカテーテル検査室を見学しました。私は、山形大学でカテーテル検査室(通称:カテ室)を担当しているのでこの見学で特に興味がある分野です。長澤さんの職場もカテ室です。カテ室では、ドクター1人とメディカルスタッフでほとんどの検査・治療が行われます。長澤さんの仕事はドクターを清潔野で補助する仕事です。ドクターは手技が終わるとすぐに手を降ろします。後は長澤さんがシースを抜いて止血をします。時には穿刺もやるそうです。ICDのポケットを縫う仕事も長澤さんがやっていました。
アメリカの病院のカテ室では、マニュアルを確認するスタッフが多かったです。マニュアルは私の働く施設にもあるのですが、たくさんのドクターがいる中で統一したマニュアルを作るため、ドクター間で手技が異なるとあまり効果がありません。先程も書きましたが、ここではドクター1人とその他スタッフで治療・検査が行われるため、ドクター各々にマニュアルがあり、とても効果があります。スタッフがマニュアルを確認しているのがその証拠です。マニュアルは全て長澤さんが作っているそうです。
在庫は、綺麗にわかりやすく管理されていました。そして、私の施設で使用されているデバイスよりもサイズが1サイズ大きい!アブレーションカテーテルはF/Jカーブ、PENTARAY®︎もFカーブ、日本では見ないサイズです。また、日本光電、フクダ電子等の日本企業の医療機器やディスポーザブル製品も見ることができなかったのも意外でした。日本企業の製品を唯一見ることができたのはテルモ株式会社のシースでした。
また、スタッフが暖かく迎えてくれたのが嬉しかったです。カテ室には病院のスタッフだけではなく、メーカーさんもカテ室のスタッフとして治療をサポートします。メーカーさんにも優しく教えてもらいました。
3日目:病院見学 呼吸療法部門
3日目は呼吸療法部門を見学しました。この部門を案内してくれたのはアレクシスさんです。アメリカの呼吸療法士の資格を持つ女性技師さんです。長澤さんの持つ資格とは別の資格です。日本では、呼吸管理業務、カテ室業務、体外循環業務、機器管理業務は臨床工学技士の仕事ですが、アメリカでは個々の分野は独立している資格なのだそうです。アレクシスさんには、酸素療法、吸入ステロイド薬の介助、気管切開チューブの交換を見せていただきました。やはりこの分野は日本よりも患者さんに近く、とても勉強になりました。そして、アレクシスさんと写真を撮るのを忘れました。
4日目:病院見学 機器管理部門
4日目はClinical Engineering部門を見学しました。この部門は日本でいう機器管理を行うような部門です。ここを案内してくれたのは、スティーブさんとアンジェラさんです。スティーブさんは2人の娘さんとお孫さんがいるお爺ちゃん技師さんで、病院の中を案内してもらいました。アメリカの機器管理部門は一人一人が広いブースを持っていて個々のブースで作業します。アンジェラさんとはモニターや保育器を直したり、病棟に行って12誘導心電計の電極を交換したりするのを手伝わせていただきました。
5日目:AAMI EXCHANGEへ
AAMI学会へ参加するため、5日目は長澤さんとデンバー経由でクリーブランドへ移動しました。朝の散歩に長澤さんのお子さんたちが付き合ってくれてとても気持ちよかったです。
長澤家の皆様本当にお世話になりました。泊めてもらうだけでなく、夕飯だけでなく、お弁当まで作っていただき、何不自由なく、コロラドスプリングスで生活することができました。本当にありがとうございました。長澤さんにおかれましても、AAMI学会前の忙しい中引き受けていただき、アフター5もいろんなところに連れて行っていただきありがとうございました。子供が無事にお見せできるような子に育ったら、家族でお邪魔したいと思っております。
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- 臨床工学部, 病院見学, バネラ先輩, 長澤, U.S.A., UCHealth, AAMI Exchange 2019, 山形大学医学部付属病院