「かなちゃんパパの近況報告
~コーチング研修インストラクター取得までの道のり~」
第10回
「コーチング研修インストラクター」を取得してみて思うこと
「コーチング研修インストラクター取得までの道のり」と言う題で、9回のコラムを書かせて頂きました。
認定資格を取れたから今後どうしようと考える前に、全く未知の世界であった「コーチング」について学ぶことで、まずは自らを振り返ることができるようになったと言うことが一番の収穫ではないかと思います。
今回のコラムも、更なる振り返りができたことは有意義な機会でありました。
4月から、色々な方とお話しする機会がありましたが、私と同世代の方々は若い人たちの指導・育成に悩みを持ち、過去の成功体験から指導すると言う「根性論」ではなかなか考えているようには指導・育成が進んでいかない現実に直面されているようでした。
「草食男子」などと言う言葉が流行った時期もありますが、今の若い人達は、なにか掴みどころのなく、何かを言ってもはぐらかされている様な感覚を持ちます。これは、満足度のレベルが低いと言うのが私の感覚で、ちょっとしたことで満足し、更なる興味が湧かないのだと思います。
私は部下に「興味を持ちなさい。」と何度も言ってきましたが、若い人たちは何が興味であるかが分からないのです。
与えられたものだけをこなすという教育を受けてきたからでしょうか。
娘が使っていた教科書を思いだすと、イラストや写真が多く使用され、さらにカラーであると言う、羨ましい教科書でした。
「ゆとり教育」うんぬんと言うことはしませんが、与えられるものがすでに揃っている状態で教育が行われます。
自らが興味を持って取り組むと言う姿勢に欠けるのは、小学校からの教育が私たちの時代とは違うからなのではと感じます。
インターネット社会も、興味を持てない一要因ではないかと感じます。
調べたいことがあれば、キーボードを叩けば答えが導き出せると言うとても良い時代ではあります。見たい映画がどこの映画館で何時から行われ、その映画をリアルタイムに予約もできる。
こんな便利な使用方法はありません。しかし、自ら探した本や辞書から学ぶ方法の知らない、基礎知識、理論を持っていない人間が、知識を身につけるために使用するインターネットは、薄っぺらな知識が一瞬、理解できるだけで、身にはならないのです。
インターネットは興味を生むきっかけを作る情報媒体であり、あくまでも情報源なのです。その興味から知識を自らの身に植え込むには、様々な媒体から勉学し、自らの手や足や、目、耳など体を使って体験し、脳刺激をすることで可能になるのだと思います。
先日、セミナーで講演をしましたが、40名の参加者の中で私の本を知っている人はいませんでした。
18000円と言う高額なセミナー料金を払ってくるのは、何らかの問題意識があり、知識を身につけたいと言う気持ちの表れであることは良いことだと思います。しかし、セミナーの内容に関連する本を読んだことはありますかと質問すると、下を向くばかりです。
知識を身につける方法は、教わる(教えてくれる)ものという前提が先にあるのでしょう。そのため、自らがその問題に取り組んでいこうと言う意識に欠けているのでしょう。セミナーとは、本に載っている中の重要なことをまとめて代わりに読んでくれる人がいる。
参加者は耳からの情報で知識を身に付けようとするのでしょう。この方法を否定はしませんが、復習をしない限り、聞いたことの半分は家に帰るまでに忘れてしまうでしょう。
そして、次の日に残っている知識は、1/10程度ではないでしょうか。そのため、家に帰ってから復習できるようにと、私はテキストの最後に活字による説明を入れています。さて、何人の方が読んでくれるのでしょうか?
私が行った院内で行っている講義を2年間で4回聞いている部下に基本的な質問をしたところ、全く答えられませんでした。これが現実なのです。
これもセミナーの一場面ですが、人工呼吸器の回路は臨床工学技士が組み立ててくれると手を上げた看護師さんが半分以上いました。では、皆さんは自分で人工呼吸器の回路を組み立てられますかと質問したところ、誰ひとり手を上げませんでした。
では、もし、あなたのお子さんが呼吸不全を起こして入院し人工呼吸器を装着したとしましょう。
あなたが親だったら、自分の子供が、人工呼吸器の回路が組み立てられる看護師さんと組み立てられない看護師さんがいたら、どちらに看護師さんに看て欲しいと思いますか、と質問したところ、一瞬、参加者の顔が青ざめたように見えました。
そうなのです。自分の立場でしか物事を考えていないのです。患者さんやご家族の立場に立って物事を考えると必然的に身につけておかなければいけない知識が分かるはずなのです。呼吸器回路の知らない看護師さんは、緊急的な人工呼吸器のトラブルに対応することはできないのです。
臨床工学技士の業務も多様化して、分業化が進んでいます。
分業化によって、院内全体の一般業務ができるジェネラリストを育てることが難しい時代です。分業化が進んでいるからと言って、スペシャリストを目指そうという人も少ないのです。
こんな時代の中で、安全、安心、適正な医療、さらには最良の医療を提供するためには、指導・育成の方法を変えていかなければならないのです。
相手を変えることはできません。なので、教える側が変わらなければいけません。
コーチングと言う手法を用いて、小さな夢でもよいので、それを引き出し、それを実現するプロセスを一緒に考え、自らの言葉でいつまでに達成すると言う宣言をさせることの繰り返しで、大きな夢を持つことに繋がることでしょう。一歩一歩、先に進むことができるでしょう。
コーチングは、「怒る」ことはしませんので優しい方法の様に感じますが、実はとても厳しい方法なのです。自らが宣言すると言うことは、自らに責任を持つと言うことで、他人に責任を押し付けられない手法なのです。逃げることもできません。
講義であっても、コーチング(気づきを感じる)を用いた指導する手法を身につける必要があるでしょう。これを、ファシリテーターと呼ぶのが良いのかと思いますが、これも教える側が変わる必要があると言うことです。
私自身、知識を少し身に付けただけで、コーチング手法が身に付いたと言える状況にはありませんが、この与えられた時間を無駄にせず、患者さんやご家族が満足する医療を受けられるように、後進の指導・育成に力を注ぐことが私の使命であると再確認できたコラムであったと思います。
次回へ続きます。。。
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