昨今、テレビやいろんなメディアで取り上げられる機会の増えた「働き方改革」、どこか他人事のように聞こえていませんか?報道で取り上げられるのは「長時間労働の抑制」と「多様な働き方」、「高齢者や女性の活躍推進」などのキーワードが多く、なんとなく分かっているつもりになっているものの、職場において「具体的にどう動く?」といったところの議論がなされていないのではないでしょうか?
今回、私の勤務する病院で年2回実施している「臨床工学技士合同勉強会」(関連病院を含めて所属する臨床工学技士約40名対象)に「働き方改革とキャリアデザインについて考える~人生の主人公はあなた~」というテーマを取り上げ実施しました。このテーマを採用するきっかけは、今年行われた第28回日本臨床工学会で私たちの委員会で企画したワークショップ“「仕事に活きる」をマネジメントする~仕事に活かすライフデザイン・キャリアデザインからWLBを考えよう~”の内容に、私自身が深く感銘を受けたからでした。私はもっぱら聞き手でしたが、演者の皆様から発せられるメッセージは深く心に響くと同時に、どうにかこの「キャリアデザイン」という考え方を自分の施設にも植え付けたいと思うようになり、今回の勉強会に取り入れたわけです。とは言うものの、私自身はキャリアデザインの専門家でもなければ、人に何かを教えるほどこのテーマについて理解している訳でもなく、どのように進めようか苦慮していたのですが、この間にうちの男性スタッフが「育児休暇」を願い出てくれたのでした。職場内で調整し、当初の本人希望より多めの1ヶ月の育児休暇をとってもらうことになったのですが、そこで改めて「多様な働き方」を考えることになり、「働き方改革」を改めて勉強してみました。
私はこれまで「働き方改革」の根源は、「長時間労働」、「非正規職員との給与格差」という問題が中心だと思っていたのですが、実は一番の問題は「生産人口の減少」がもたらす「国力の低下」が最大の問題であることを知りました。そして、その対策として「労働力の確保」と同時に「労働生産性の向上」が大きなポイントになると思いました。WLBも実はこの「労働生産性の向上」に不可欠であり、ワークとライフを充実させるサイクルを作ることがとても重要です。
そこで、今回の勉強会では働き方改革の概要についての説明を行ったあと、実際に育児休暇を取得してもらった職員からWLBについて話してもらい、中堅職員からはワークに生かすノンテクニカルスキルについて紹介してもらいました。そして、全員でエドガー・シャインが提唱した「キャリアアンカー」テストを実施し、自身の拠り所を知った後、スタッフを年代別に分けてグループディスカッションを行いました。ディスカッションのテーマは「あなたが考えるWLBとキャリアデザイン」とし、同年代の多様な価値観に触れることで、自分の視野を広げるきっかけにしてもらうことを目的としました。最後に、各グループからどんな議論になったのか発表してもらい、勉強会は終了しました。印象的だったのは、若いうちはどうしても仕事は仕事、プライベートはプライベートと分けて考えがちなところが、人生を進めるにつれてワークもライフのひとつという捉え方に変わり、ライフを充実させるにはワークの充実が不可欠、との考え方に変わるという事でした。年配グループはライフを「生活」ではなく「人生」と捉えていることがとても面白かったです。
今回の勉強会を通じて、「人生」の主人公は自分自身であり、自身のキャリアを自身でデザインすることの大切さに少しでも気付いて実践してくれることを期待しています。(担当:佐々木)