横浜労災病院 寺島 和宏
今回、6月5日に、Children’s hospital Colorado を見学し、6月6日から6月8日までColorado Convention Center で開催されたAAMIの学会に参加した。デンバーは、アメリカ合衆国コロラド州にある都市で、日本より約9,300km離れており、日本からは飛行機で約11時間かかり、時差は日本より、15時間遅れている。標高は、約1600mあり、遠くには、ロッキー山脈が見える雄大な景色であった。
Children’s hospital Coloradoは440床の小児病院であり、敷地面積や、外観大きさの割りに病床数が少ない印象を受けた(病室や廊下、家族待合室等のスペースを広く贅沢に使用しているため)。地上9階、屋上にはヘリコプターで輸送できるように、ヘリポートが設置されていた。周辺は、University of Colorado Hospitalや、University of Colorado School of Medicineがあった。
病院に入ると、カラフルな内装が施され、病院とは思えないほどであり、廊下には、明るい絵や、かわいらしい絵などを中心にたくさん飾られていた。一角には、子供達と一緒にイベントなどを開催できる部屋が用意されていた。
施設内の、一般外科病棟、NICU、透析室、MRI室などを見学した。
NICUの入口に大きな水槽で、綺麗な魚が多く泳いでおり、重症患者が入るNICUがあるとは思えない程、色彩豊かで明るく、小児向けに様々な工夫がなされている印象を受けた。
病棟内には、病室とは別にテレビやソファーが置かれたリビング、ダイニングキッチン、洗濯・乾燥ができる部屋もあり、病棟内であっても、入院中の子供が、家族と過ごすための工夫がされていた。フロア内には、リハビリのためのジムが設置されており、入院中のリハビリを楽しくできそうだった。
病室は、すべて個室で内部は広く確保されており、ソファー等が設置されていた。また、大きな子供の移動や介助のために、患者をつりあげる装置が天井に設置されており、処置をするための無影灯が設置された部屋もあった。
NICU内は廊下の左右に病室があり、室内が見渡せるように壁の多くがガラス張りになっていた。NICUの中央にナースステーションと、心電図や、SpO2などモニタを観察するための監視所が配置され、病室に入らなくても患者の状態が見えるよう工夫されていた。病室内には多くの機器を使用できるようにベッドの頭側の壁面に電源が多く設置されていた。
透析室は9床あり、コンソールはフレゼニウス社製で、すべて個人用透析装置であった。ナースステーションより、患者や装置が見渡せるように配置され、ベッドではなくリクライニングシートが設置されていた。すべてのシートの下には体重計が配備され、体重測定と体重変化を測定できるようになっていた。
MRIは6台あり、撮像中にも輸液ポンプやシリンジポンプからの点滴が持続注入できるように、入口扉付近に直径2cmくらいの丸い穴があり、点滴ルート延長することにより、撮像中の輸液が可能になっていた。
小児病院は、小児が怖がらずに、過ごし易いように空間や雰囲気が作られ、家族と一緒に過ごしながら、治療を受けられる工夫がなされていると強く感じた。子供にも家族にとっても安心できる、病院の理念が感じられ、とても感銘を受けた。
Colorado Convention Centerにて開催されたAAMIは、医療機器や、ソフトウェア、機器のマネジメントなどが中心で、シンポジウム、教育集会、一般演題の発表など様々な、セッションが行われていた。発表では積極的な議論が行われており、アメリカ以外の海外からも多くの方々が参加していた。
学会と併設され、医療機器の展示もされていた。機器の点検機器、メンテナンス機器が多く展示されていた。Clinical Engineersや、BMET(Biomedical Equipment Technician)向けに様々な機器が紹介されていた。
また、AAMIは、多くのイベントを設けており、ティーパーティや25th Anniversary and Awards Reception、2015 AAMI AWARDS CELEBRATIONに参加した。
6月6日に開催された2015 AAMI AWARDS CELEBRATIONでは、都築正和先生がロウフマン・グレートバッチ賞を授賞され、受賞後のスピーチでは、AAMIとの関わりを話されていた。
6月7日Clinical Engineers in Japan and the U.S.: Differences, Similarities, and How They are Tackling Challenges. をテーマに山形大学医学部附属病院の吉岡氏、飯塚病院の井桁氏のプレゼンテーションを拝聴した。会場には多くの人が、参加していた。
発表後のティーパーティでは、AAMIの会長や幹部の方々が参加しており、緊張したが、堅苦しい雰囲気はなく、気さくに話すことができ、良い交流の場となった。
6月7日に25th Anniversary and Awards Receptionでは、食事やお酒を飲みながら、日本の臨床工学技士として、ACCEの会長に紹介して頂いた。
今回、Children’s hospital Coloradoの見学、AAMIに参加させて頂けた事で、海外事情に目を向けることができ、勉強になり、良い経験となった。また、多くの人と交流でき、大変有意義であった。