8/21 1日目(デンバー→コロラドスプリングス移動)

ワイオミング大学サマープログラムが終了し、デンバー空港で解散した私は電車とバスを乗り継いで長澤さんが在住するコロラドスプリングスまでなんとかたどり着きました。奥さんと息子さんが車で迎えにきてくださり、なれない海外で無事合流できたことに安堵したのを覚えています。その後、空軍基地のエントランスを潜り抜け高校生の娘さんと合流し長澤家にたどり着きました。夕方ごろに仕事終わりの長澤さんも帰宅し、家族愛溢れる長澤さん一家に夕飯をごちそうしていただきました。長澤さんの息子さんの誕生日が1/9、長澤さんが2/9、自分が3/9であることもわかり不思議な縁をやはり感じました。

 

8/22 2日目(Garden of Gods観光とプチ山登り)

 2日目は長澤さんにコロラドの有名な観光地であるGarden of Godsを案内していただきました。コロラドは1年の300日が晴れの気候らしいのですが、この日はくもり時々雨模様でした。カルフォルニアでの山火事の煙がこちらまで流れてきて雨を誘発したようです。山火事で周辺の天候にまで影響を与えてしまう、こちらのスケール感の大きさには驚かされるばかりです。その後は天候も回復し、小さな丘の岩山の上に登ってみようということになりプチ登山をしました。日本よりも空気が薄いため、いいトレーニングになりました。この日の夜に日本企業が医療機器の製品開発を進めるかどうか躊躇している間に、アメリカの会社に先を越されてしまったというお話を伺いました。大学の研究においても日本先行の技術はあるが企業が参入するか二の足を踏んでいる間に、海外の研究所と企業に先を越されるという話を聞いたことがあったので、この部分は改善していく必要があるなと感じました。

8/23 3日目(UCHealth Memorial Hospital Central 見学)

 EOE(Educational Observatory Experience)プログラムを利用し、長澤さんが勤務されているUCHealth Memorial Hospital Centralを見学しました。この日の朝は早くAM5:00に起床しAM6:00に病院に到着しました。この時間帯でも駐車場には医療関係者の車がたくさん停められていました。アメリカでは朝早くから勤務を開始しPM5:00時ごろには勤務を終了するメリハリのついた勤務スタイルが一般的なようです。早朝のミーティングで日本からやってきた学生であることを紹介していただき、職場の方は長澤さんが普段から日本語を教えていたため、おはようございますとフレンドリーにあいさつをしてくれました。その後カテーテル室ではAM9:30からオペが始まる心房細動の肺静脈アブレーション治療の準備が進められていました。自分は長澤さんのshadowとしてそばに張り付きながらその作業を見守りました。今回はAラインを三か所取る必要があったため、手動での加圧や気泡抜きなど血圧測定用のトランスデューサのセットアップが大変そうでした(長澤さんは手際よく10分程度で終わらせていました)。

カテーテル治療では大きく体を切り開かず低侵襲な治療を行える一方で、治療領域を肉眼で確認することができないため治療領域のイメージング技術が重要です。本病院ではCARTO3という3Dマッピングシステムが使われていました。患者さんの手術台の下にはマッピング用のマグネットが設置されており、患者さんの前面、背面にそれぞれ3か所の電極パッドを貼り付けx,y,z軸方向の3次元座標を決定します。体内にカテーテルを挿入した場合にはこの3Dマッピングシステムによって心臓内のどの部分にカテーテルが存在しているかを容易に知ることができます。

アブレーション領域の3Dモデルを作成するために先端が5つに分かれたカテーテルが使用されました。それぞれの先端はしなやかに動く構造になっており、心臓内をクラゲのようにゆらゆら漂いながら心臓壁との接触抵抗を測りつつ効率よく電位マップが形成されていました。

左図 https://www.biosensewebster.com/products/carto-3/pentaray-eco-catheter.aspx

肺静脈付近の3Dマップ作成後はアブレーションするルートを3Dマップ上に作成し、それに沿ってアブレーションを行っていました。アブレーションされた箇所は3Dマップ上に逐一記録されていきます。1000 s程度で肺静脈の周りをぐるっとアブレーションが完了し、執刀医であるDr.ハイメは器用にカテーテルを使い電気信号の送受信を行い、アブレーションによって電気信号がブロックされている様子を丁寧に確認していました。治療領域の3Dモデルの作成、カテーテルの存在位置のビジュアル化、アブレーション位置の記録などの処理をタイムラグなくリアルタイムで行えていることに驚きました。

8/24 4日目(コロラドスプリングス→デンバー移動)

最終日は長澤さんの奥さんと息子さんにバス停まで送っていただきました。お弁当も持たせていただき、デンバー行きのバスの中で思い出に浸りつつ美味しくいただきました。

 

♪カモンベイビーアメリカ♪

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