AAMI 2017 Conference & Expo 報告書

大阪市立大学 島崎拓則

ヒューストン空港に到着、現地駐在員バネラ先輩と合流し、次の乗り継ぎまでの間、参加者の皆さんと空港内の喫茶店へ移動、私がバネラ先輩に「Temperatureの発音を何度聞いてもよくわからないんです。」と尋ねると、「直接聞いてみたらいいやん。」とウェイトレスの方をみる。「なるほど」Temperatureを発音してもらうと、何度もゆっくり繰り返してくれた。Goodのお墨付きをもらう。耳だけでなく口の動きを見ながら聞くとよくわかる。(赤ちゃんの頃からこうやって言葉を学ぶんだな。)ありがとう!ウェイトレスのおねえさん。

AAMI 2017

会場のあるオースティンに到着。AAMIはちょうど50周年を迎える。記念すべき節目に発表させて頂き光栄だ。発表会場を下見しスライドの確認を済ませる。発表前夜、ホテルの部屋で予行練習をした。アットホームな中、具体的な意見を沢山もらえた。そして、当日、壇上に立つと昨夜の皆の温かい笑顔がそこにある。座長の高階先生からもフォローして頂き安心して発表できた。ただ「16-bit」を「じゅうろくビット」と日本語で発音してしまうミスを除いては…。そんなお茶目なミスはあったものの無事終了。バネラ先輩からも「思ってたより良かったわ」とお褒めの言葉を頂く。

吉岡委員長をはじめ参加者の皆さま、どうもありがとうございました!また、お会いできることを楽しみにしています。そして、海外発表をしたいけど踏み切れない皆さま!このツアーに参加して発表するのはお勧めです!

最後に貴重な機会を頂きました日本臨床工学技士会に心より感謝申し上げます。

裏 AAMI 2017

そして裏AAMIへ

AAMIが終了し参加者の皆さんを見送った後、バネラ先輩宅のあるコロラドへ移動、裏AAMIの始まりとなる。

初日は、カテーテルのスペシャリストR.C.I.S. (Registered Cardiovascular Invasive Specialist)であるバネラ先輩が働く UNIVERSITY OF COLORADO HEALTH MEMORIAL HOSPITAL を見学した。職場の雰囲気がすごくいい。お互いを尊重しあって働いている感じ。英語の苦手な私にもみんな優しく接してくれた。

バネラ先輩が心臓カテーテル、バルーン、IABPやアブレーション療法をする近くで見せてもらう事ができた。バネラ先輩、カテーテルの手技速い!鮮やかです!アブレーション術のあとで医師が異常伝達路を焼くときに、伝達時間を測定している理由をホワイトボードで詳しく説明してくれた。病院スタッフの皆さん、そして、トムクルーズ似のGonzalez先生、ありがとうございました!

次に、BMET(Biomedical Equipment Technician)の部屋を見学した。日本よりも業務が細分化されており、就職後も資格を取りスキルアップすることで収入に繋がっていくとのこと。機器の管理はBMETの部屋で集中管理するのではなく、基本的に病棟に配置し、修理や部品の交換時期が来れば、BMETの助手が取りに行くとのこと。いわゆる分散管理をしていた。理由を聞くと「集中管理では看護師の手間が増えるから、BMETで機器を清掃する助手さんを雇う方が合理的だ。」とのことだった。

次に透析室へ行くと、ちょうど看護師さんが準備中。硬水チェックや透析液のカリウム濃度など細かい疑問はいくつかあった。しかし、忙しそうなのでここは質問せずにスルー。そして穿刺し治療開始。

「ん!血液ポンプとAチャンバーの流れが逆!間違えてる!?」これはスルーできない。「日本では血液ポンプ→Aチャンバー→ダイアライザの順番だが、なぜ?」バネラ先輩に聞いてもらう。すると「それは昔の方法で、ここも前はそうだったのよ。」とのこと。その理由を聞くと、「そういう方式なのよ」とのアメリカンな返事。「・・・。」そこで色々考えてみる。アメリカは高血流量(この患者さんは400ml/min)で回しているので脱血不良を防ぐためにAチャンバーを一時的な貯留用バッファーとしているのか?などあれこれ考えて聞いてみるも結局わからずじまい。これは全米スタンダードなのか、この病院だけなのかもわからず。「ここではこうしている」との事。来年のツアー参加する皆さま、もし透析室を見学したらリサーチをよろしくお願いします。

さらに驚くことが、抗凝固剤を使っていない!「えっ、つけ忘れてる!?」慌てて聞いてみると。他の患者さんも抗凝固剤をほとんど使わず、抗凝固剤系の内服も飲んでない。そして血液回路も血栓溶解剤のようなものをコーティングしているわけではない。至って普通のものであるとのこと。医師にも聞いてみると確かにその通りだという。「日本の常識はアメリカでは非常識なのか!?」これも全米スタンダードなのか、この病院だけなのかも分らず。「ここではこうしている」との事。腑に落ちない疑問点2つを残すも、とても勉強になりました!バネラ先輩、どうもありがとうございました!

 

その夜、バネラ先輩と奥さんから永住権(グリーンカード)を取得し現在に至るまでの話を聞く。当時、既婚(子持ち)で単身渡米、理解ある奥さんと周囲のサポートにも恵まれ今は家族で住んでいる。しかし、それに至るまで、言葉、人種、お金・・・、次々に立ちはだかる障害で何度も帰国を考えたという。しかし、そこで諦めていたら今の自分は無かったという。「今を頑張る。報われた今の自分があれば、過去の苦労は帳消しになる。過去は変えられるだ!」いやー心に滲みました。映画ターミネータの「未来は変えられる。運命なんてものはない。自ら作り上げるものだ。」に並ぶ、いやを超えるくらいのいい言葉。「過去は変えられる」座右の銘とさせて頂きます!

後日、パイクスピークという山にバネラファミリーと一緒に訪れた。『wikiより抜粋:パイクスピークとは、ロッキー山脈にある山の一つ。もっとも有名なアメリカの山頂の1つ。標高4,302 m』 浮かれて走っていると息苦しいくなり目がかすんできた。「く、苦しい・・・。」ここは富士山よりも標高があることを知り納得。なんとか山頂で写真を撮って無事下山。その他に、ビッグサンダーマウンテンのような赤土の広大な山麓を2時間かけてホーストレッキング(外乗)をしたり、ショッピングしたり本当に楽しい時を過ごさせて頂きました。バネラファミリーありがとうございました!