「第21回日本臨床工学会」ワークショップ10 羽ばたこう世界へ

平成23年5月22日(日) 13:30 ~ 15:00

WS-10では、国際交流委員を含む5名の演者の方々からご発表を頂きました。今回のWSについて、皆さまからの感想や、これからのことについてのコメントをご紹介させて頂きます。また、プログラムにはありませんでしたが、飛び入りで、現在バングラデッシュに医療機材協力隊員として派遣されている宮川さんとskypeが繋がって、オンラインで会場との質疑なども行いました。スライドのイメージがあるものは発表の内容を御覧頂けます。

 

■WS10-1
「国際交流委員会活動報告(全般及び先進国との交流)」

日本臨床工学技士会 国際交流委員会担当理事、日本臨床工学技士会 事務局
【高柳 英夫】

当会は昨年設立20周年を迎えました。当会としてこの20年間の歴史を次世代へ継承しつつ、与えられた社会的使命の達成に向けて今後とも尽力してゆく必要があります。一方、今までに培ってきた臨床工学技士(会)としての技術、ノウハウ等を世界に向けて発信してゆくことも、国際公益事業としての当会の今後の責務の一つでもあります。日本の臨床工学技士制度は、世界に類をみない先進的な制度です。この制度の、理解と活用を世界は求めています。言い換えれば日本の臨床工学技士の活躍を世界は求めています。会員諸氏の世界での活躍で、医療機器を介した世界の医療安全に向けて貢献していこうではありませんか!

 

■WS10-2
「臨床工学技士制度の途上国への制度移転と技術協力」

日本臨床工学技士会 国際交流委員会委員長、埼玉医科大学 保健医療学部 医用生体工学科
【山下 芳久】

JACET国際交流委員会は十数年前から発展途上国に対して臨床工学領域に関する技術協力と制度移転を行なってきました。そして現在、中国側からの要請を受けて臨床工学、主に血液浄化に関する技術協力と臨床工学技士の制度移転について協力していく方向で交流を進めています。今年度に中国全土における技士会が発足されれば更に有意義な交流が進むと思います。これにより日本と中国における技士の向上と医療の発展を望むものであります。
今回のワークショップは、世界で活動したいと思う臨床工学技士にとって大変有意義なものであったと考えます。JICAの担当者や海外活動経験者、そして現在海外で活動中の実務者が説明、発表、現地での活動状況をライブ中継しました。とても迫力があり、分かり易かったと思います。これを見て聞いたことにより、より一層に臨床工学技士は世界で活躍でき、必要とされていることを認識しました。国際交流委員会は世界で活動する臨床工学技士のために今後も努力して行こうと思います。

 

■WS10-3
「開発途上国では臨床工学技士としての知識と経験が求められています」

独立行政法人国際協力機構(JICA) 人間開発部 保健第一課
【菊地 太郎 氏】

今回、当機構が日本の政府開発援助の一環として開発途上国で展開する、医療機器分野への事業について日本臨床工学会でご紹介できましたことは、大変貴重な機会でありました。開発途上国の保健医療分野での開発ニーズは非常に多種多様でありますが、医療機器の保守や管理技術に関するニーズは特にアフリカを中心に広く認められています。当機構としても臨床工学技士の皆様が国際協力分野に関心を持ち、青年海外協力隊やシニアボランティアへの参加などを将来の進路の選択肢として検討され、実際に開発途上国でご活躍されるようご支援申し上げたいと思います。

 

■WS10-4
「公式HPを利用した国際協力事業の推進」

日本臨床工学技士会 国際交流委員会委員、東京女子医大 八千代医療センター臨床工学室
杉浦 陽一

「会場は、満員にはなりませんでしたが、ほとんどの皆さんが延長時間まで参加下さいまして、なによりも質問が熱かったと思いました。会場に参加された皆さまの中からボランティアに参加される方が出てきたら嬉しいですね。そう言う意味でもHPを旨く活用したいと思っています。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。」

 

■WS10-5
「国際協力の経験と臨床工学技士の将来展望」

ビンコーインターナショナル株式会
【錦 麗絵 氏】

「私自身、国際協力に関わる仕事に従事し始めたばかりで模索している状態ですので、今回の国際交流ワークショップはとても刺激になりました。さらにスカイプを用いた現地との通信は一瞬にして現地に引き込まれたような感じでした。」

 

■特別参加:JICAバングラデッシュ事務所からSkypeで参加

青年海外協力隊 バングラデッシュ医療機器隊員
【宮川牧子 氏】

「これからは日本と、空だけでなく、Netでもつながっていると感じられた、すごく嬉しい時間でした。日本に同じような気持ちを持った方がいらっしゃるのを間近に感じたことで、一層ホッとできました。」

 

□会場の皆さまからたくさんの質問を頂きまして、有り難う御座いました。


質問1.(菊地氏対して):産学連携に関する研究をしています。”リバースイノベーション戦略”(注1)の考え方を医療機器の分野に展開した場合、日本からは海外で機器に関する指導や修理などのミッションに対応出来る臨床工学技士は派遣できますか?

回答1.:JOCVで多くの経験をされてきている方々がおり、今後、そのようなニーズにもお答えできるようになれば素晴らしいと思っています。

 

質問2.(菊地氏対して):臨床工学技士がJOCVに参加すると2年間派遣されることになり、JICAには「現職参加制度」がありますが、現実的には、人的資源が不足してしまうので、現実的には成立しにくい制度ではないでしょうか?もう少し、派遣元に負担がかからないような制度はないのでしょうか?

回答2.:現時点では、ご案内の制度で対応するしかありませんが、JICAとしても考えて行かなくてはならないと思っています。

 

質問3.(宮川氏に対して):言葉に関して、現地で活動していて困ったりすることはありますか?

回答3.:ベンガル語での会話は聞き取れるようになってきました。私は、英語ができないのですが、外人だから英語ができると思われて、英語で話される時が一番困っています。

 

質問4.(セッションにて):現在大学生で、臨床工学技士を目指していますが、将来的に国際交流に係わりたいと思っています。今、学生の内にできることはありますか?

回答4.:海外での活動に語学は重要ですので、出来るところから始めるとよいかと思います。海外に日本の臨床工学技士として派遣されるのであれば、社会人として、技士としての経験、資質は欠かせないと思います。

 

質問5.(錦さんに対する質問):現地での実際の修理に際して工学的な知識が必要なのでは?どのように対応していますか?

回答5.:工学的な知識は私にとって、現実的に苦手な分野であります。実際に現地に入ってから、メーカーの技術者とやり取りをして対応をしております。


質問6.(錦さんに対する質問):現地での消耗品や修理に必要なパーツの入手は実際には現地では困難であると思われるが、どのように対応していますか?

回答6.:消耗品やパーツの調達に関しては、現地での入手は困難な場合が多い為、他国からの調達ルートの確保を行います。しかしながら、その後の調達に関しては輸入となりますので、予算の都合もあり実際には入手できていないのが現実かと思われます。

 

(注1):”リバースイノベーション戦略”とは、新興国で製品開発(生産ではなく開発)をして、先進国にその製品を展開する戦略のことで、米ゼネラル・エレクトロニクス(GE)のジェフリー・イメルト会長が、ハーバード・ビジネス・レビュー誌の2009年10月号に寄稿した「GEはどのように自らを破壊しているのか~新興市場からのグローバル化」という論文の中で紹介されたものです。GEの大きな戦略転換として、現在、世界で極めて高い注目を集めています。

http://www.gereports.com/reverse-innovation-how-ge-is-disrupting-itself/

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