カンボジア王国の医療機器の現状

小川竜徳1)、新井知大2)、珍田英輝3)、明石秀親3)

1)臨床工学科、2)放射線科、3)国際医療協力局
 

背景と目的

現在、国立研究開発法人国立国際医療研究センターでは、厚生労働省「医療技術等国際展開推進事業」の一貫で、世界中の発展途上国に対し様々な分野から医療技術支援を行っています。そして東京都医工連携HUB機構とも連携を持ち、国内外問わず医療機器の研究開発も関わっています。

そのような背景から、今回カンボジア王国において医療機器の現状を調査しましたので、現状の課題も含めて報告します。

 

方法と対象

調査は、医師、診療放射線技師、臨床工学技士の医療従事者3名、民間医療機器企業の代表者4名、国際医療協力局スタッフ1名の計8名で構成されたチームで行いました。

対象は医療機関、政府関係機関、教育機関を訪問し、各有識者らによる独自の視点で共通事例を客観的に観察しました。

 

結果と考察

医療機関はプノンペン市内の国立母子医療センター、クメールソビエト友好病院、カルメット病院、隣接州のコンポンスプー州病院、郡病院、地域保健所の6施設において訪問調査しました。

 

東南アジアの途上国という事もあり予想はしておりましたが、多くの医療機器は老朽化や故障による一部動作不良や使用不能状態となっていました。そして経済的事情から機器新規購入の制限や修理等の機器管理は適切に行われていない事が多いため、各医療機関では絶対数が不足しています。

 

そのため医療機器は中国など諸外国や企業から中古品の寄贈品が多くなっています。ただし、その寄贈品は必ずしも対象施設のニーズや環境に適合しているとは言えず、使用不能状態の要因の一つになっていると考えられます。

 

また寄贈品が多いことは、非対応言語(中国語、日本語、韓国語)の取扱説明書整備、修理や点検のアフターフォローが脆弱などの問題を抱え、機器管理を更に困難なものとしている状況となっています。

         

対策として医療機器関連学会をしっかりと機能させて、教育機関もふくめた講習会実施等の支援を行う事が望ましいと考えられます。

 

また東南アジア地域途上国特有の高温多湿、土埃、粉塵、虫害、停電、過電流、断水、不安定な下水などインフラ、環境や設備等を考慮した医療機器の選定や開発、保守管理法の整備、根本的な基礎教育が必要と考えます。

Photo解説
1.国立クメールソビエト友好病院の正面建屋。
2.同院内の胸部X線室の老朽化した現役機材。
3.州病院の球切れしている手術室無影灯。
4.欧州より寄贈された閉鎖式血圧トランスデューサキットだが、使用する手術は実施していない
5.プノンペンから郡病院へ移動中。未舗装の道路が続く。
6.度々おこる停電の為、手動の手術台を利用している。

 

 

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